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 応用行動分析学勉強ノート

 
コラム 消去を行うときに大切なこと 1 

 消去の手続きを解説しましたが,こどもに対しても成人に対しても問題行動の消去を行うだけでは,教育的な支援とはいえません。

 1つ目に大切なことは,できるだけ問題行動が起こらず適切な行動が起こりやすいような支援を行うということです。問題行動が起こってから消去を計画するよりも,そもそも問題行動が起こらないように支援するということですね。

 問題行動等の無くしたい行動が起こってしまうと,頑張って対応してもそれが強まったり維持されてしまう可能性があります。そのため,『無くしたい行動は起こさせない』ということが支援の基本となります。本人のスキルや理解力に合わせ,先行条件(A)を明確にして十分なプロンプトを行い(環境調整を含む),望ましい行動が生じて強化される機会を増やします。

 その際に極力避けなければならない支援方法は刺激や活動を制限するということです(『刺激や活動を制限することについて』参照)。問題行動が起こり難いように刺激を制限するようアドバイスをされることがありますが,極力刺激を制限しない方向で支援をすすめる方が良いと考えます。施設の人員や体制,家庭での生活の中で問題行動を消去することができず,自他に危害を加えてしまうような緊急の対応が必要な場合は,一時的に刺激を制限する対応を行うことはあります。その場合も制限を緩めて通常の環境に戻すことを計画に加えておく必要があります(プロンプトフェイディング)。

 2つ目に大切なことは,適切な行動を指導する・できることを増やすということです。問題行動は何かしらの要求の機能を持っていることが多いので,問題行動を消去するということは,こどもの要求を受け入れないという意味も持ちます。しかし,人に何かを要求するということは大切なことなので,問題行動ではなく,より社会的に適切な方法で要求を伝えるスキルを教えてあげなければなりません。

  少し見方を変えると,問題行動を示す場面というのは何かを要求したい場面であることが多いので,学習の良い機会となります。欲しいものを手に入れるスキル,課題を中断するスキル,他者の注意を引くスキルは,問題行動の代替行動として学習させやすいスキルと言えます(強化を受けやすく,本人の学習への動機づけが高い)(代替行動分化強化)。

 「行動レパートリーと問題行動との関係」で解説したように,できることが増えてくると問題行動や困った行動は減少します。これは目に見える行動だけに限らず,認知能力も含まれます。注意の切り替え,気持ちを切り替える力,抑制する力,感情のコントロール,状況理解,自身の行動の結果を理解する力,などが伸びてくると問題行動は減少し,また,消去しやすくなります。そのため,問題行動を対処的に消去して無くすというよりも,問題行動を強めないような対応を行いながら,教育的な支援によって認知能力を向上させる,できることを増やすといった計画の方が有効な場合があります。

 応用行動分析学(ABA)では問題行動の消去の手続きが強調されることが多いですが,それは問題行動で困っている方が多いこと,問題行動を無くすことが緊急の課題である場合があること,問題行動の改善に有効であるためだと思います。

 しかし,特にこどもの場合は,問題行動を消去するよりも,適切な行動を指導する機会を設けたり,適切な行動が起こりやすいような環境を整えることの方が大切です。十分な教育と支援が継続して行われることを前提として,それでも問題行動が起こってしまった場合は消去すると考えて下さい。教育的な支援を行わず,ただ問題行動を消去しようとしても,きっと別の問題行動が出てきてしまい根本的な解決には至りません。


 
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