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 個別療育の進め方

 
学習態勢の指標

  学習態勢が形成できてきたかどうかの指標として,私が一番重点を置いている点は,セッション中の勉強時間(課題に従事する時間)と課題量です。

  こども行動療育教室は,50分から60分を1セッションとしますが,療育開始時はこどもに合わせて,十分に休憩を取りながら進めます。休憩は本人が好きな遊びや課題や作業という形で取り,できるだけ椅子に座って机上で取り組むことにします。

  そして徐々に課題数やバリエーション,各課題の課題量を増やし,セッション中の勉強時間(課題に取り組む時間)と課題量を伸ばしていきます。こどもの年齢や障害の程度にもよりますが,基本的には1時間のセッション全て集中して課題に取り組むことを目指します。本人からの「休憩したい」という希望ではなく,本人の様子を見てこちらが設けた短い休憩を取ったり,リフレッシュするため体を動かす課題を行うことはあります。1時間集中して課題に取り組むと疲れますが,それでも崩れずに最後まで取り組むことを目指します。

  家庭学習では就学前のこどもが,1時間ほど集中して課題に取り組むこと,または,取り組ませることは難しいです。私は,そうしなくても構わないと思います。家庭学習では本人が集中して取り組める時間を把握し,集中力が切れる前に終わる程度の課題を基本的に行うと良いと思います。こどもが逸脱行動を示したり,注意が逸れる前に終わる程度,こどもに合わせて10分から20分を1セッションとして,集中して取り組むことができたら十分だと思います。それを日に数セッション,食事前やおやつ前といった決まった時間に行うことを提案します。

  なぜかというと,家庭学習でこどもの集中力が切れて崩れたとき,逸脱行動を行ったときの対応を誤ると,逸脱行動を強めたり,勉強嫌いになってしまう可能性があるからです。また,集中力が切れていては,課題を行っても吸収できることは少ないです。保護者にとっても集中力が切れたこどもを課題に取り組ませることは大きな負担ではないでしょうか。家庭学習では,こどもが集中して取り組める程度の時間を1セッションの目安として,徐々に回数を増やしたり,時間を伸ばしていくと良いと思います。家庭では,机上学習だけではなく,遊びや日々の日課や活動の中で学習できることはたくさんあるので,それらの活動の中でこどもの学習を促すような関わりを行ってあげて下さい。

  その他の学習態勢の形成に関する指標は,セッション中に見られる逸脱行動です。この逸脱行動は,『学習態勢を形成する3』で解説した小さな逸脱行動も含みます。例えば,課題からの逃避を目的とした行動(「もうやりたくない」「つかれた」という発言,プリントを破る,席を離れる,など),課題と関係のない行動や発言(隣に置いている玩具を触ろうとする,文脈と関係のない話を始める,課題で遊び始めたり指示と違う行動をする,席を立ち母親のところに行く,など)は,集中力が切れてきたり,課題をやりたくない時に見られます。

  学習態勢ができてくると,徐々に逸脱行動は減少し,また,逸脱行動を示しても回復して取り組むまでの時間が短くなります(つまり,速く切り替えることができるようになる)。

  また、療育の時間を楽しみにして、嫌がらずに課題に取り組む、ということも大切です。療育機関での療育であれば、行く前に嫌がって泣いたりしているのであれば、専門家は療育内容や難易度、進め方を考え直さなければなりません。家庭学習も同様です。嫌がることなく、こどもが療育を楽しみにしているようであれば、態勢作りの進め方としては上手くできていると思います。

  このように,療育中の逸脱行動が無くなり,1時間程度落ち着いて課題に取り組むことができれば,就学前のこどもとしては,学習態勢が十分に形成されたと考えます。1時間集中して取り組むというのは,私が1セッション50分で療育を行っているからということもあります。その他の療育機関で設定している療育時間によっては,基準は変わると思いますが,セッション中の勉強時間,課題に取り組む時間というのは学習態勢の大きな指標になります。態勢作りの段階では、こどもに嫌悪感を抱かせず楽しく積極的に取り組めるように進めることも忘れてはいけません。

  注意しないといけない点は,学習態勢が形成されたとしても,まだこどもなので日によって波があって当たり前だと言うことです。体調や睡眠やストレスやちょっとした出来事によって,いつも通り集中して取り組めないことはあります。こどものその日の様子を見て,休憩を多く取ったり,課題量を少なくしたりして,調整してあげてください。


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