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  勉強ノート2 はじめに

  応用行動分析学(ABA)とは?

  行動は変わるということ

  障害特性と教育について


  叱責することのデメリット

 
 教育的支援の基本

  コラム.行動の見方と教育的支援

  注意力・集中力の問題

  習い事について

  物理的な環境調整や
  スケジュールについての考察


  刺激や活動を制限すること
  について

  何が誰にとって問題行動
  なのか?


  集団適応を阻害しやすい
  問題行動


  相手によって行動が変わる
  ことは悪いこと?


  進学、学校選びについて

  専門家の「少し様子を見ましょ
  う」というコメントについて


  専門家の「愛情不足」という
  コメントについて


  恐怖感や過敏な反応への対応

  コラム.自己刺激行動や過敏な
    反応について:疲れやスト
    レスとの関係


  切り替えの弱さへの支援

  渋々でも納得する力

  思いやりや人に親切にする
  行動について


  子育ての正解,不正解

  障害の受容について

  行動理論を理解してもらう


  行動的支援勉強ノートとABA
  にもとづいた支援について



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 行動的支援勉強ノート2

 切り替えの弱さへの支援


  発達障害や知的障害のあるこどもの中には,活動の切り替えが苦手なこどもがいます。例えば,食事,歯磨き,お風呂,お出かけや登校の準備,お勉強をさっと開始できない,「もう終わりですよ」と声をかけても遊びやテレビを終了できない,トイレに長時間入る,など。このような切り替えが上手くできないと,日常生活をスムーズに送ることは難しく,保護者も困られると思います。

  これは障害特性から来る注意の切り替えの弱さや見通しを持つ力の弱さなどが関係していますが,こどもの切り替える力を伸ばしていくことは可能です。切り替え時にぐずって先延ばしにする行動を強めてしまってはいけません。

  基本的な対応方法は他のこだわり行動や変化への弱さへの対応と同様に,切り替えに慣れさせ,切り替える行動を強化していくということになります『こだわり,自己刺激行動への対応について』,『柔軟性,変化への耐性を養う』参照)。

  切り替える行動の一例をABCの三項随伴性で考えると,
(A)夜テレビを見ているとき「歯を磨きなさいよー」と言われる‐(B)洗面所に言って歯を磨く‐(C)歯が磨き終わる,テレビを再び見る,となります。
 
  切り替えが上手く行かない例をABCの三項随伴性で考えると,
(A)夜テレビを見ているとき「歯を磨きなさいよー」と言われる‐(B)「まだ」と言ってテレビを見る‐(C)母に怒られる,テレビを見続けられる,となります。

  ポイントは『切り替える』ということです。切り替える時がきたら切り替えさせる,ということを日々の対応で教育的に経験させなければいけません。上記の上手く行かない例に示す随伴性を経験していると,どんどん切り替えが難しいこどもになっていきます。

  『プロンプトを用いた正しい行動を学習させる基本的な方法』で解説しているように,まずは十分なプロンプトを用いて,先行条件(A)を明確にして,こどもが切り替えやすい支援を行います。上記の例ならば,8時になったら歯を磨く,7:30からのテレビ番組が終わったら歯を磨く,ということを事前に十分に伝えておき,切り替える準備をさせます。

  次に切り替える行動を促す十分なプロンプトを行います。上記の例ならば,時間が来たら保護者がテレビを消す,体を持って立たせる,洗面所に誘導する,など。この時に「もうちょっとで終わるのに」「後,10分だけ」といったこどもの言い訳や言い分を聞いてあげる必要はありません。「時間になったから歯を磨きますよ」と言ってテレビを消して歯を磨かせます。できればこどもが嫌がったり,抵抗したりしないように,自然と誘導してあげる方が良いです。

  歯磨きを開始できたり,歯磨きが終わったときにしっかり褒めて上げ,見たいテレビを再開してあげます。『十分なプロンプトによって適切な行動を起こさせて,強化する』ということです。

  十分なプロンプトによって切り替えに抵抗がなくなってきたら,徐々にプロンプトを弱めていきます(プロンプト・フェイディング)。「はい時間ですよ」とだけ声をかけて自分でテレビを消させたり,特に切り替える時間などを伝えずに切りの良いところで声をかけるなど。

  そして,そのような切り替えの機会をできるだけたくさん日常生活の中で経験させます。まずは,楽しいことへの切り替え,楽しいことから楽しいことへの切り替えの機会を多く設け,徐々に,楽しいことから楽しくないこと(お勉強やあまり好きではない日課など)への切り替えの機会を増やしていきます。

  療育場面では特に,切り替えが苦手なこどもには切り替える機会を多く設けて,切り替えに慣れさせていきます。まずは先行条件(A)を明確にするため,どの程度遊んだらお勉強を行うか(時間や回数など)を事前に伝え,その時点で遊びを終了してお勉強に切り替えさせます。次に,玩具遊びを楽しく行い,少し区切りができたところで「はい,お勉強します」といってお勉強に切り替えさせます。そういった切り替えに慣れてきたら,次は遊びの区切りではないところ(こどもの気分が乗っているところなど)で「はい,お勉強します」といってお勉強に切り替えさせます。最初は切り替えられたことをしっかり褒めて強化し,すぐに遊びを再開しますが,慣れてくると,その都度褒めてあげる必要はなくなります。

  このように,その時のこどもに必要な切り替えやすい支援を行い,切り替える機会を日常生活や療育場面で積極的に設定し,上手く切り替える経験をたくさん積ませます。

  切り替えが苦手なこどもも,徐々に柔軟に切り替えることができるようになり,全く抵抗なく,すっと切り替えることができるようになります。

  やさしい保護者はこどもの言い分をしっかり聞いてあげることがありますが,こどもの言い分を聞き,切り替えが遅れてしまうほど,切り替えに時間がかかるこどもになってしまいます。たまにこどもの言い分通りに切り替えを遅らせたりしてしまうと(「そしたら10分だけね」など),より悪い結果につながることが多いので注意してください。



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