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 個別療育の進め方

 コラム 距離を離して課題の難易度を高める


  様々な課題の難易度を高める1つの方法は距離を離すということです。距離とは空間的な距離と時間的な距離のことを指します。見本との類似性も距離と捉えられるかもしれません。

  例えば絵カードの弁別課題を例に挙げると,空間的な距離を離すために選択刺激を離れたところに置きます。これは「取ってくる」課題となるのですが,離れたところにある数枚の絵カードから指定された絵カードを弁別して取ってくるという課題です。選択刺激を机上に置くよりも難易度が高い課題になります。まずは,少し離れた見えるところに選択刺激を置き,正答率が高まってきたら,見えない所に選択刺激を置いて課題を行います。これは取りに行くまでに時間がかかるので時間的な距離も離したことになります。

  時間的な距離を離すためには,口頭での見本刺激,例えば「リンゴ」と療育者が言ってから,りんごの絵カードを弁別させるまでに少し時間をとります。最初はこどもの手を止めて「いーち,にー,…」と10数えてから弁別させるなど。単語の模倣学習では,見本を言って10秒経ってから模倣させるなどになります。

  空間的,時間的距離を離すことで,課題の難易度は高まり,正答率は落ちます。これには注意力と記憶力,衝動性が関係しています。空間的距離を離した課題での移動中,時間的距離を離した課題での待ち時間は,弁別しないといけないカードや自分がしないといけないことを記憶しておかなければ正解できません。記憶しておかないといけないということは,覚えたこと(頭の中のこと)に注意を向け続けないといけないということなので,周りの刺激に注意が逸れたり,何かに衝動的に反応してしまうと忘れてしまいます(りんご,りんご,と繰り返し口に出したり,頭の中で考えたりして忘れないようにする方略をリハーサルと言いますが,別の頁で解説します)。

  つまり,空間的,時間的距離を離すことで注意力や記憶力,衝動的な反応を抑制する力が必要になり,課題を通してこれらの力を伸ばすことができます。

  マッチングや模倣や弁別学習など,何か課題ができるようになれば,少し空間的距離,時間的距離を離して同じ課題を行ってみてください。机上で課題ができるようになるのとは,また別の力を養うことができます。また,距離を離して課題の難易度を高めても正答できるようになれば,課題自体はそれほどがんばらずにできるということなので,しっかり習得したと考えることもできます(『正確性と流暢性について』参照)。


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