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 行動的支援勉強ノート 1

 教育的な視点を持った問題行動への対応


  
保護者への教育相談や,園や施設での研修を行うと,問題行動のご相談を受けることが多いです。『〇〇という問題行動があって困っている,何とかしたい』というものです。例えば,他害行動や自傷行動,癇癪,など。また,『〇〇ができなくて困っている』というご相談も受けます。トイレが自立できない,園で先生の全体への指示を聞いて動くことができない,保護者の言うことを聞かない,友達と遊ぶことができない,など。

  これらの問題行動や課題に対して,すぐに効果のある対応方法を求められることがありますが,簡単に答えを出すことができないことがあります。こどもが生活する環境の中ですぐに改善できる行動もあれば,そうではない行動もあります。特定の問題行動を解決したり,特定の活動を訓練する前に,身に付けておかないといけない行動やスキル,また発達の段階があります。いわゆる下位スキルが身に付いていない状態で複雑な行動を標的としても上手くいかなかったり時間がかかるため,こどもと大人双方に大きなストレスがかかります。

  問題行動や課題に対して具体的な支援方法を計画できることが応用行動分析学(ABA)の長所であり,期待されるところだと思いますが,少し視点を変えて考えていきます。

  上の例でいうと,『園で先生の全体への指示を聞くことができない』というご相談をよく受けますが,このような複雑な行動が問題なくできるのであれば,集団生活で大きく困ることは少ないと思います。例えると応用問題の解答のようなものです。この課題ができるようになるためには,こどもの様々な能力を伸ばしてできることを増やし,必要な支援を行い,スモールステップで繰り返し正しい経験を積む必要があります。また,先生や保護者がこどものことや障害のことをより理解する必要があるかもしれません。様々な能力というのは,行動レパートリーや認知能力であり,刺激に反応する力,選択的に注意を向ける力,注意を切り替える力,言葉やジェスチャーを理解する力,指示を短時間記憶しておく力,周りの動きを見て真似をする力,やりたいことを我慢する(抑制する)力などです。

  目の前の気になる問題行動を対処的に減少させる計画を立てる前に,こどもがどのような力が弱いから適切な行動ができていないのかを考え,教育的にスモールステップで必要な力を伸ばしたり,できることを増やしていくという考え方が特にこども達に対しては大切です。

  繰り返し解説してきましたが,『できることを増やす』ということがこどもへの教育的支援で最も大切なことであり,できることが増えていくと問題行動は減少します。『園で先生の全体への指示を聞く』という行動を標的とする前に,上記の様々な能力を伸ばしていくことが前提として必要であり,これは問題行動への対応を考える時も同様です。

  特にこどもの場合はできないことがあって当然なので,問題を無くしたり課題を克服することばかりに注目していると,こどもも大人もしんどくなってしまいます。自身や他者を傷つけてしまうような,早急に対応が必要な問題行動も確かにあります。しかし,目に見えている問題や課題だけに注目して解決策を考えるのではなく,当面は
今は仕方がないと考えて問題行動を強めないような対応を心がけ,様々な力をつけていき成長を促すという取り組みが大切です。並行してスモールステップで正しい行動を教えても良いし,もう少し基礎的な力から養っていく方が良い場合もあります。

  目の前の問題や課題に対して対処的な解決策を考えると,刺激や活動を制限したり,叱責したりと教育的ではない対応につながる可能性もあります。また,こちらが注目する行動は増えていきやすいため,問題行動ばかり気にしていると,問題行動が更に強くなっていく可能性があります。

  少し目の前の問題から目線を逸らして,こどもの様々な力を伸ばしてできることを増やし,保護者や先生はこどものことや障害のこと,適切な関わり方を学び,長い目で教育的にこどもの成長を促して問題を解決していくという考え方が大切です。

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