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 注意と記憶の訓練 2


  『注意と記憶の訓練1』では机上学習を中心としましたが,ここでは遊びや体を使った活動を通して行う注意や記憶の訓練を解説します。机上の学習も同様ですが,注意が弱いこどもは苦手なことが多いので,できるだけ楽しく行うことが大切です。

  多くの遊びは注意を必要とするものが多いので,一定時間遊ぶことは注意の向上につながります。例えばキャッチボールでもボールに注意を向け続けないと,上手くキャッチすることができません。ボールをまっすぐ投げてあげたり,高く放り投げたり,転がしたり,バウンドさせたりすることで,色々な方向に注意を向けさせることができます。中当てやドッチボールも注意を維持したり,切り替えたりしないと上手く遊ぶことができません。

  カルタは選択的注意が必要であり,神経衰弱はカードを記憶しておく力が必要です。神経衰弱は最初から多くのトランプを用いても上手くできないので,こどもの記憶力にあった数にカードを制限して練習していきます。難しければ,絵カードを数枚提示し,裏返して指示したカードを選んだり(リンゴと消防車とカブトムシのカードを提示し,裏返して,「リンゴどこ?」といって選択させる),裏返して指定したカードが何か答えさせたりするところから始めると良いです。

  ジャングルジムを上ったり,少し高いところにつかまって止まる場合も,次につかむところに注意を向けたり,つかみ続けることに注意を向けておかないと,落ちてしまいます。

  つまり,こどもの遊びはある程度の注意や記憶を必要とするものが多いので,家の中でできる遊びでも,公園でできる遊びでも良いので,楽しく遊ぶことで注意や記憶の向上につながります。

  注意を持続したり衝動性を抑えるため,体の動きを止めたり,ゆっくり動いたりすることが有効だという報告があります。保護者の方が行っていたのですが,『だるまさんがころんだ』で一定時間からだの動きを止める遊びも良いと思います。少し離れたところの壁に,体を止めずにできるだけゆっくり動いて,遅くタッチできた方が勝ちという遊びも良いです。机上であれば,できるだけゆっくり線を引く遊びなど。家族で体の動きを止めて,先に動いた人が負けというゲームも楽しみながら注意を向けて体の動きを止める練習になります。

  スプーンにビー玉をのせて少し離れたところまで落とさず持っていったり,磁石の付いた釣竿でクリップを付けた魚を釣り上げる遊びや手のひらの上に棒を立てて落とさないようにしたりする遊びも注意の持続が必要です。

  PRTの『多様な手がかり刺激に対する反応性を高める』では,色々な種類の玩具などを提示し(遊び場面を設定しますが,机上に提示しても良いと思います),「赤くて大きい積木ちょうだい」,「赤くて小さい積木どれ?」「青くて小さい積木ちょうだい」など,色々な手がかり刺激を提示し,正しい刺激を選択させます。積木や風船,レゴ,トミカ,絵本,写真,ぬいぐるみなどを用いて遊びながら,様々な刺激の属性を手がかり刺激として提示します。色や大きさ,形,やわらかい‐固い,長い‐細い,などの属性を手がかり刺激とすることができます。

  人との相互作用,やりとりのある遊びも相手の動きや表情に注意を向けないといけないので,対人スキルや社会性を伸ばすだけでなく,注意の訓練にもなります。運動や集団遊びも有効です。

  このように,遊びや人との関わりは注意や記憶を伸ばすことが期待できます。遊びに興味を示さない場合は,遊びもスキルが必要ですから遊び方や楽しみ方を教えるという考え方が必要です。スモールステップで遊びへの取り組みを強化します。

  こどもの遊びは注意や記憶に限らずこどもの発達を促す要素がたくさん含まれているので,保護者は色々なものを使って楽しくこどもと遊んであげてください。机上学習や療育という形を取らなくても,楽しく遊ぶことで伸びていく力は多くあります。

  専門家も楽しく遊んであげることは大切ですが,その遊びを通してどのような力が伸びていくかを意識して,遊びを計画していきましょう。


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