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 個別療育の進め方

 
こどもとの関係づくり

  日々の生活での教育的支援や強化をうまく行うために,こどもとの関係づくりが大切です。『こどもとの良好な関係を築く』や『「褒める」ということについて』も参照して下さい。

  行動療育を行う時も同様であり,こどもと良好な関係が築けていなければ,どのようなアプローチで療育を行っても上手く進めることは難しいでしょう。レベルの高い療育者はこどもと遊ぶことが上手く,こどもに好かれる専門家が多いのではないでしょうか。これは性格の問題だけではなく,こどもと楽しく遊ぶこともスキルと考えられるので,良い療育者になるためには経験を通してこどもと関わるスキルや遊びスキルを高めていかなければいけません。

  療育を行う専門家は,まずは遊びや活動を通してこどもと関わり,こどものペースや好み,反応の仕方や速さ,反応しやすい働きかけ方,言語スキルや理解力,注意力,などこどもの特性や得意領域・苦手領域の把握に努めましょう。保護者とも話し,色々なことを確認します。保護者の考え方や心配事,家族構成なども知っておく必要があります。

  こどもや保護者,取り巻く環境を知り,こどもと関係を築いていきます。第1に,こどもにとってポジティブな存在にならないといけません。一緒にいて楽しい,褒められたら嬉しいという対象です。そのために楽しく遊んだり,時間を共に過ごすところから始めていきます。

  楽しく遊んだり,簡単な活動や課題を行いながら,『(A)指示が出される-(B)こどもが指示を聞いて動く/(C)強化子(褒められるなど)』という三項随伴性をどんどん経験していきます。例えば,『(A)「あそこのおもちゃ取って」-(B)こどもが取ってくる(B)ー(C)「わーありがとう」』,『(A)「ごみ捨ててきて」ー(B)こどもがごみを捨てる-(C)「上手にぽいできたね」』,など。繰り返し随伴性を経験することによって,指示を聞く,言われたことを行うことが当たり前のことになってきます。

  いきなりお勉強という形で療育を行うのではなく,このような関係づくりを行い,こどもが指示を聞きやすく,こどもにとってポジティブな存在になるとスムーズに療育を行っていくことができます。これは療育を継続していく時も同様であり,難しい課題などでしんどくなることもありますが,楽しい時間も過ごしながら療育を進めていきます。マニュアルに沿って療育を行っても上手くいかなかった,ABAの療育は難しくて楽しくない,という専門家や保護者は,このような関係作りが上手くできていないかもしれません。

  お勉強当日,こどもに「もうお勉強行きたくない」と言われてしまうと良くありません。じっくり関係作りを行い,こどもが前向きに療育に来ることを目指します。


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