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 行動的支援勉強ノート2 

 思いやりや人に親切にする行動について


  よく保護者の方から,思いやりのある行動や親切にする行動,優しくする行動がこどもに見られないと相談を受けることがあります。そのような親切行動がみられなければ,もしかして性格が悪いのかな?と心配されます。そして,優しい気持ちがあれば人には優しくするだろうという前提があるようです。

  人に親切にする行動が見られなくても,それはスキル不足や経験不足が原因である可能性が高いため,その他の行動と同様に人に優しくする行動,親切行動を学び,スキルを高めるという考え方が大切です。そして,単純な概念を学習したり,物の名前を覚えるよりも,親切行動を自発するには高度なスキルが必要なことが多いため,こどもに優しい心がないという訳ではありません。

  例えば,私たちが電車で『高齢者に席を譲る』という行動を考えてみます。A-B-Cの三項随伴性で考えると,『A:電車で座っていて,近くにおじいさんが立っている‐B:席を譲る‐C:おじいさんにお礼を言われる』,という随伴性が考えられます。その時の『B:席を譲る』という行動は,お礼を言われることや,社会的ルールを守った,良いことをしたという気持ちで強化されていたり(正の強化),席を譲らない罪悪感を避けられたという結果(負の強化)などで強化され維持していると考えられます。

  『電車で席を譲る』という親切行動が形成され,維持されるためには,社会的ルールを守ることを学習したり,席を譲るように保護者に教えてもらい席を譲って褒められたり,テレビや実際場面で席を譲ってお礼を言われている人の行動を見たりする経験が必要になります。

  また,席を譲る人を弁別する力(高齢者,怪我をしている人,妊婦さん,顔色などを見極める),状況を理解する力(他に空いている席がない),我慢する力(座っているほうが楽だけど立つ)が必要であり,声のかけ方やタイミングも学ばないといけません。

  つまり,『電車で席を譲る』という行動も,ただ親切な心があるだけで可能ではないということです。対象を見分けたり,状況を理解したり,他者の行動をモデル学習したり,適切に声をかける認知スキルや言語スキルがなければ席を譲る行動は行い難いです。社会的なルールを守るということも学習しなければいけません。親切行動には,空気を呼んだり(状況理解),相手の気持ちを察したり,顔色をうかがったり,といった高度な認知スキルが必要な場合もあります。

  席を譲ったり,体調の悪い人に声をかけたり,お菓子を分けてあげたりする親切行動は,様々な前提となるスキルや発達段階が必要であり,親切行動が強化される経験を積まなければいけません。

  こどもに親切な行動が見られなくてもこどもの性格が悪いとは考えず,必要なスキルを段階的に指導し,親切行動を見せてあげ(モデリング),実際に行動させて強化する,というように親切行動を他の行動と同様に教えてあげるという考え方が大切です。まだ対象とするには早いようであれば,もう少し前提になる力がついてから教えてあげれば良いです。日常生活では,保護者が人に親切にする行動をしっかり見せてあげたり,十分なプロンプトを与えて少しでもこどもが親切にできたらしっかり褒めてあげましょう。

  ある程度前提になる認知スキルや言語スキルが獲得できれば,療育場面や家庭で場面を設定し(お父さんがおじいさん役をして,電車で席を譲る場面を作るなど),親切行動を楽しく練習してみても良いでしょう。(『日々の生活で社会性を伸ばす:SST』参照)。

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