みどりトータルヘルス研究所
                                                                      
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〒541-0041大阪市中央区北浜3丁目5-19
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はじめに 行動療育について 勉強会や講習会
の講師
専門家への
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関連機関への
コンサルタント
プログラム作り
ICF関係





  行動的支援勉強ノート
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 1‐1.行動科学を勉強しよう

 1‐2.基本となる考え方
    将来に向けての目標


 2‐1.行動レパートリーと活動
    レパートリーを増やす


 2‐2.活動レパートリーを
    増やすメリット


 2‐3.どのように活動レパートリー
    を増やしていくか


 2‐4.行動レパートリーと
    問題行動の関係


 コラム 物を落としたり倒したり
     
する行動


 3‐1.行動の理解と対応

 3‐2.行動の見方

 3‐3.行動の原因を環境に求め
    ることのメリット


 3‐4.代表的な問題行動の機能
    と形成されるメカニズム


 3‐5.なぜ発達障害のある人に
    問題行動が見られやすい
    のか?


 3‐6.問題行動が強まる
    メカニズム


 3‐7.日常生活で問題行動を
    強めないために


 コラム 環境の変化と消去

 3‐8.問題行動が長期間維持
    されるメカニズム


 3‐9.こだわり,自己刺激行動
    への対応について


 コラム こだわりと遊びの境目

 3‐10.適切な行動レパートリー
    を増やす


 コラム 教育的な視点を持った
     問題行動への対応


 3‐11.問題行動への対応を
    考えるステップ


 行動の理解と対応 まとめ

 4-1.日々の関わりで大切なこと
    将来を見据えて大切なこと


 4-2.指示の出し方,制止の仕方

 4-3.家庭での療育活動の 
    ポイント


 4-4.柔軟性,変化への耐性を
    養う


 4-5.食事に関する行動

 4-6.自身の行動もこどもの行動
    に影響を受けている


 4-7.褒めてこどもを育てよう!


 <参考図書、おすすめ図書>


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 行動的支援勉強ノート

 指示の出し方,制止の仕方


  日常生活の中で,こどもに何かするように言ったり,困った行動を止めたりすることが良くあります。発達障害のある人たちを見ていると,ある人の指示は聞くが別の人の指示は通りにくい,ある人が制止すると止まるが別の人が制止しても止まらない,ということがあります。本節では,どのような指示の出し方,制止の仕方が良いのかを考えていきます。

  指示の出し方や制止の仕方は様々な手段があり,その強度(または明確さ)も様々です。例えば,「○○してください」という口頭指示も声が大きい方が指示の強度は強く,指差しなどのジェスチャーをつける方がより明確になります。また,身体を持って誘導したり制止したりする方が声かけや指差しよりも強度は強いです。分かりやすいようにABCの行動随伴性の枠組みで指示を出す例を図に示します。


①(A)「課題をしてください」→(B)課題をせず手遊びをする→(C)再度「課題をしてください」という指示が出る
②(A)「課題をしてください」→(B)課題をする→(C)課題が終わる,保護者から褒めてもらう


  課題場面で指示が通らないという例が①であり,指示が通るという例が②になります。
  例えば,「課題をしてください」という指示を出しても中々指示が通らず,5回目でやっと指示が通ったとします。その場合,こどもは①のABCの三項随伴性を4回経験し,②のABCの三項随伴性を1回経験したことになります。つまり,(A)「課題をしてください」という指示に対して(B)課題をするという行動は5回に1回,わずか20%しか見られません。このような経験が繰り返されれば,ある人が出した「課題をしてください」という指示に従うという行動は形成されず,中々指示に従わないということになってしまいます(その結果,”この子は言うことを聞かない”などわがままなこどもとして扱われてしまう可能性があります)。

  指示を出すときのポイントはできるだけ1度で通る指示を出すということです。こどもが従う強度で指示を出し,できるだけ②のABCの行動随伴性のみを経験してもらうということです。仮に1度で指示が通らなければ,2回目には指示の強度を強くし,必ず指示が通るようにします。②のABCの三項随伴性を繰り返し経験することで,指示に従ってスムーズに動くという行動が形成されます。
  ポイントは,指示に従って動けたときにしっかり認めて褒めてあげるということ,強めの指示で行動できるようになれば徐々に指示の強度を弱くしていくということです。そうすると最終的に簡単な口頭指示(「○○してください」)だけでこどもはスムーズに動くことができるようになります。

  指示の明確さを高めるには,まず指示を出すときにこどもの注意を向けることです。例えば,こどもの名前を呼ぶ,肩を叩く,机をこんこん叩く,などしてこどもがこちらを見るのを確認してから指示を出します。次に,こどもの言語スキルに合わせて,「○○してください」,「○○します」とはっきりとした声で簡潔に指示を出すということです。「△△君,しっかりお勉強しないと終わらないですよ,がんばって続けて下さい」といった長い文章で指示を出すと,実際に何をしたら良いか理解できないことがあります。言語スキルに合った簡潔な指示を出すことで指示の明確さは高まります。

  行動を制止する時も同様の考え方が当てはまります。1度の対応で制止するということが大切です。こどもが他害行動やわがまま行動のような問題行動を示した時,1度の対応で行動を制止することができなければ,問題行動はどんどん強くなり制止が困難になってしまいます。どの程度の強さの制止を行うことで確実に制止できるかを見極め,

『(保護者)行動を制止する→(こども)問題行動を続ける→(保護者)行動を制止する→・・・』

  というやり取りを続けないように注意してください。身体を持って動きを制止する,問題行動を示す場面から引き離すといった強めの制止から確実に行動を制止し,徐々に制止の強さを弱めていくことにより,最終的に「止めて下さい」といった口頭指示だけで行動の制止が可能となります。

  最後に,指示を出す,制止をする時に共通するポイントは,1度指示を出したら必ず指示を通す,1度制止したら必ず制止をするということです。何度か指示を出したけれど結局指示が通らないので一旦指示を止める,何度か制止したけれど結局行動を制止することができないので制止するのを止めるということがあれば,より指示が通りにくく,より制止が困難になり,問題行動を強めることにつながります。そのようにして対応が難しくなると,怒鳴るなど厳しい対応をとることや,機嫌を損ねないように恐る恐る対応するようになることがあります。早期から指示には従う,制止されたら行動を止めるという経験を積ませることが重要になります。


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