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 行動的支援勉強ノート 1

 指示の出し方,制止の仕方


  日常生活の中で,こどもに何かお願いをしたり指示を出したり,困った行動を制止したりすることは良くあると思います。発達障害の有無にかかわらず,指示が取りやすかったり通りにくかったり,ある人の指示は聞くが別の人の指示は通りにくい,ある人が制止すると止まるが別の人が制止しても止まらない,ということがあります。本節では,どのような指示の出し方,制止の仕方が良いのかを考えていきます。

  指示の出し方や制止の仕方は様々な手段があり,その強度(または明確さ)も様々です。例えば,「○○してください」という口頭指示も声の大きさや表情によって指示の強度は変わり,指差しなどのジェスチャーをつける方がより明確になります。また,身体を持って誘導したり制止したりする方が声かけや指差しよりも強度は強いです。ABCの三項随伴性の枠組みで指示を出す例を図に示します。課題場面で指示が通らない随伴性が①であり,指示が通るという随伴性が②になります。

①(A)「課題をしてください」→(B)課題をせず手遊びをする→(C)再度「課題をしてください」という指示が出る,怒られる

②(A)「課題をしてください」→(B)課題をする→(C)課題が終わる,保護者から褒めてもらう


  例えば,「課題をしてください」という指示を出しても中々指示が通らず,5回目でやっと指示が通ったとします。その場合,こどもは①のABCの三項随伴性を4回経験し,②のABCの三項随伴性を1回経験したことになります。このような経験が繰り返されれば,「課題をしてください」という指示に従うという行動は形成され難く,指示に従わない行動が増えていく可能性が高いです。
(その結果,”この子は言うことを聞かない”などわがままなこどもとして扱われてしまう可能性があります)

  指示を出す時は,できるだけ1度で通る指示を出すことが大切です
(「バスに乗りましょう」⇒乗らない⇒「乗りましょう」⇒乗らない,などのやり取りを続けない)。こどもが反応しやすいように十分に配慮をし,反応できる強度で指示を出し,できるだけ②のABCの随伴性のみを経験してもらうということです。指示を短く明確にしたり,身体を誘導したりするなどの手助けをしてあげても良いです。仮に1度で指示が通らなければ,2度目には指示の強度を強くし,必ず指示が通るようにします。②のABCの三項随伴性を繰り返し経験することで,指示に従ってスムーズに動くという行動が形成されます。

  ポイントは,指示に従って動けたときにしっかり認めて褒めてあげること,強めの指示で行動できるようになれば徐々に指示の強度を弱くしていくこと,手助けも徐々に弱くしていくことです。そうすると最終的に簡単な口頭指示(「○○してください」)だけでこどもはスムーズに動くことができるようになります。

  指示を通りやすくする方法の1つは,指示を出すときにこどもの注意を向けることです。例えば,こどもの名前を呼ぶ,肩を叩く,机をこんこん叩く,などしてこどもがこちらを見るのを確認してから指示を出します。次に,こどもの言語スキルに合わせて,「○○してください」,「○○します」とはっきりとした声で簡潔に指示を出すということです。「△△君,しっかりお勉強しないと終わらないですよ,がんばって続けて下さい」といった長い文章で指示を出すと,実際に何をしたら良いか理解できないことがあります。言語スキルに合った簡潔な指示を出すことで指示の明確さは高まります。

  行動を制止する時も同様の考え方が当てはまります。1度の対応で制止するということが大切です。こどもが他害行動やわがまま行動のような問題行動を示した時,1度の対応で行動を制止することができなければ,問題行動はどんどん強くなり制止が困難になってしまいます。どの程度の強さの制止を行うことで確実に制止できるかを見極め,

『(保護者)行動を制止する:「止めなさい」→(こども)問題行動を続ける:「いやー」→(保護者)行動を制止する:「止めなさい!」→・・・』

  というやり取りを続けないように注意してください。まずは制止しやすい状況から始めて,制止の声かけにただしく反応する練習を行います。こちら制止に反応できないときは,身体を持って動きを制止する,問題行動を示す場面から引き離すといった強めの制止を用いても良いので確実に行動を制止し,徐々に制止の強さを弱めていくことにより,最終的に「止めて下さい」といった口頭指示だけで行動の制止が可能となります。

  最後に,
指示を出す,制止をする時に共通するポイントは,1度指示を出したら必ず指示を通す,1度制止したら必ず制止をするということです。何度か指示を出したけれど結局指示が通らないので一旦指示を止める,何度か制止したけれど結局制止することができないために制止を止めるということがあれば,より指示が通りにくく,より制止が困難になり,問題行動を強めることにつながります。そのようにして対応が難しくなると,怒鳴るなど厳しい対応をとることや,機嫌を損ねないように恐る恐る対応するようになることがあります。早期から指示は聞く,制止されたら止めるという経験を積ませることが重要になります。

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