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  応用行動分析学を勉強しよう


  1. 応用行動分析学(ABA)を
    学ぶメリット


  2. 三項随伴性と
    機能的アセスメント


  3. 強化,弱化(罰)

  コラム. 強化子を見つける大切
    さとプレマックの原理


  コラム. 「褒める」ということに
    ついて


  4. うまく行動を強化する
    ためには


  5. トークンエコノミーと
    レスポンスコスト


  6. プロンプト・フェイディング

  コラム.プロンプトを用いて
    正しい行動を強化する
    基本的な方法


  コラム. 行動を習慣化する
    ということ


  7. 消去と消去バースト 1

  8. 消去と消去バースト 2


  コラム. 「泣く」ということ

  コラム. 消去を行う時に
    大切なこと1


  コラム. 消去を行う時に
    大切なこと2


  9. 分化強化 1 


  10. 分化強化 2 






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 応用行動分析学勉強ノート

 コラム 行動を習慣化するということ


  心理療法の1つである行動療法は、心理学の『学習』に関する基礎研究から導き出された学習理論をベースとしています。応用行動分析学(ABA)も行動療法に含まれ、学習理論の中で主にオペラント条件づけをベースとして発展してきました。

  では、心理学で対象とする『学習』とは何なのでしょうか?一般的に『学習』と言うと、学校での勉強などをイメージすると思います。しかし、心理学で研究対象となる『学習』は、「経験による行動(反応)の比較的永続性のある変容あるいはその成立過程」と定義されます(培風館、心理学の基礎より)。つまり、『学習』とはあらゆる行動の変容とその成立過程を対象とした領域です。「経験による…」とあるように、身体の発達、成熟、薬物、疲労の結果として生じる行動の変化は学習に含まれません。動物実験を中心に学習領域では多くの基礎研究が行われ、学習が成立するためのメカニズムや環境要因が明らかになり、学習理論が提唱されてきました。

  ここでは『学習』の定義にある、「行動の比較的永続性のある変容」という点について考えていきます。学習理論をベースとしている応用行動分析学(ABA)も比較的永続性のある行動の変容を対象としています。つまり、一時的な行動の変化や短期間の行動の変化を生じさせるだけでは不十分ということです。適切な行動の形成を目的とした場合、その行動の比較的永続性のある変化、つまり、行動が習慣となることを目指さなければいけません。

  応用行動分析学(ABA)では行動を形成したり修正したりする場合、ABCの行動随伴性の枠組みで行動を捉え、行動の先行条件(A)と結果(C)という環境を操作します。環境を操作するということは,先行条件(A)では,適切な行動が起こりやすいように物理的な環境を整えてあげたり,ヒントを出してあげたりすることです。結果(C)では,適切な行動をしっかり褒めてあげたり,即座に反応してあげたりします。より明確で分かりやすい環境を整えていきます。

  例えば、あいさつをする、という行動を形成する場合、先行条件(A)として、普段より大きめの声で「こんにちは」と言ったり、「あいさつは?」と声をかけたり、「こん・・・」とヒントを出してあげたりします。上記のようなプロンプトを出して、こどもが「こんにちは」と言えたら,結果(C)として、「こんにちは、上手にあいさつできましたね」と即座に褒めてあげます。不明瞭な「こんちは」という挨拶だったとしても褒めてあげたり、「こんにちは」と正しい挨拶のモデルを提示し,正確に模倣ができたら褒めてあげたりします。

  このようにABAでは,先行条件(A)と結果(C)を操作することで行動を修正したり形成したりしていきます。行動を習慣とするためには、上記の様な特別な環境の操作により正しい行動を繰り返し経験し,特別な環境の操作を徐々に弱め,できるだけ自然な環境で自発できるように進める必要があります。

  先行条件(A)と結果(C)の環境操作により、正しい行動(「こんにちは」)が形成され安定して出現するようになれば、特別な環境操作を弱めて自然な環境に近づけていきます(プロンプト・フェイディング)。先行条件(A)では、普通の声の大きさで「こんにちは」と言ったり、少し離れたところからあいさつしたり、本人が「こんにちは」と自発するまで待ったりします。結果(C)では、普段自然な環境であいさつをしても褒められることは少ないので、本人が「こんにちは」と言えたら「こんにちは」と返すだけにしたりします。このように自然な環境で行動が自発し維持されるようにプロンプトをフェイディングしていきます。

  では、行動が習慣化し自発するということをABCの行動随伴性の枠組みで考えたらどうなるでしょうか?行動が自発するといっても何もない状況で行動が生じているわけではありません。自然な環境の中の社会的な手がかり刺激が先行条件(A)となって行動が生起しているということです。例えば、先ほどの挨拶を考えると、社会的な手がかり刺激となる先行条件(A)としては、少し離れたところに知り合いがいる、チャイムが鳴って先生が教室に入ってくる、廊下を歩いていると校長先生がいる、家に帰ってきたら母親がいる、仕事から帰ってきた父親が部屋に入ってくる、などの刺激によって、その対象に対してあいさつするという行動が生起すると、あいさつが自発したとみられます。

  自然な行動の結果(C)は、あいさつをすることであいさつが返ってくるといったことであり、そのような自然なやりとりによって自発的行動は維持されます。行動が習慣化されると毎回確実に結果が伴わなくても、すぐに行動がなくなることはありません。つまり、毎回あいさつを返してもらえなくても、たまに笑顔であいさつを返されたり、たまにあいさつしないことで注意されたり、あいさつをして気持ちよくやり取りをしている場面をテレビで見たりすることで、挨拶する行動は維持されます。一度習慣化した行動はそのように低頻度の結果によっても維持され、すぐに消失してしまうことはありません。しかし、例えば友達や家族があいさつをしても全く返してくれなければ、その友達や家族に対して挨拶する行動は減少するかもしれません(消去)。

  自然な環境における社会的な刺激が先行条件(A)となって生起する行動を自発的な行動と考えることができ、そのような自発的な行動が、社会的な刺激によって、また、明確な結果(C)が無い様に見えても維持されると、その行動は習慣化したと考えることができます。

  特に何も言われなくても時計を見て時間がきたから宿題を始める、21時までのテレビ番組が終わったら明日の学校の用意をする、などです。また、朝ごはんを食べたら歯を磨いて、歯磨きが終わったら着替えを始めて、着替えが終わったらかばんを取って…、という様に1つ前の行動が次の行動の先行条件となることを「行動連鎖」といいます。

  このように行動を習慣化するためには、まずは先行条件(A)と行動の結果(C)を明確に分かりやすくするといった環境の操作を行い、行動が形成されれば特別な環境調整を弱めて、自然な環境で行動が自発するように計画していくというのが、ABAの基本的なアプローチになります。





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