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 軽度知的障害やその他の発達障害のあるこどもの支援

 
コラム:やられたらやり返す?

  
保護者と話をしていると,男の子の場合,「やられたらやり返しなさい」,「叩かれたら叩き返しなさい」と教えていることがあります。

  教育方針は各家庭によって違うので,特に男の子の場合,少々手を出してもたくましく育ってほしい,また,理不尽なことをされたら手を出しても仕方が無い場面があると考えられるのかもしれません。

  私は以下の理由で,特に知的障害や発達障害,発達の遅れがあるこどもに対しては,
『どういう状況でも絶対に手を出してはいけない』,という方針で教育する方が良いと考えます。

  第1の理由は,障害の有無に関わらず,手を出すことが問題解決につながると暴力行動が強化され,手を出しやすくなったり,より強い他害行動を示すようになったり,様々な場面で手を出すようになってしまう可能性があるためです。気に入らない時,イライラした時,要求を通したい時など簡単に手を出すようになるかもしれません。そうなると,友達が離れていったり,家庭内暴力につながったり,『暴力的な子』とレッテルを貼られてしまうことがあります。

  第2の理由は,知的障害や発達障害があり状況を理解する力が弱いと,保護者が考える手を出して良い場面を理解することが難しいことがあるためです。必要があれば手を出しても仕方がないと考える保護者は,例えば,相手が先に手を出したときは叩き返して良い,と教えるかもしれません。その考えが正しいかどうかは置いておきますが,ルールや状況を理解する力が弱いと,保護者が考える状況を理解して,その状況だけ手を出してやり返すということができない可能性があります。自分が悪いことをして注意されたときに手を出してしまうかも知れないし,意地悪をされたと勘違いして手を出してしまうかも知れません。偶然ぶつかった年下のこどもや赤ちゃんを叩いてしまう可能性もあります。その時保護者は「なんで叩いたの!」と叱るかもしれませんが,こどもは「お父さんがやり返せって言ったから」と思うでしょう。

  第3の理由は,成人した後は,手を出して良い場面は基本的に無いということです。正当防衛と考えられる場面があるかもしれませんが,普通に生活しているとそういう場面に出会うことはまずありません。成人後はほとんどの場面で手を出すと犯罪行為となり,自身にとって不利な状況になります。仕事をクビになったり,警察につかまったり,施設に入らなければいけない可能性があります。大学や専門学校を退学になるかも知れません。成人後を考えても,暴力行動を行動レパートリーとして獲得させないようにした方が良いです。

  第4の理由は,これは個人的な経験からですが,障害があると何か問題があったときに不利になる可能性があるということです。例えば小学校でけんかをしたり,からかわれて手を出したりしたとします。その時,相手が先に仕掛けてきたとしても、「あの子は障害あるからすぐに手を出す」,「障害かあるから我慢することができない」と考えられるかも知れません。これは誤った考えですが,この認識が拡がると,「こんな暴力的な子を同じクラスにしないで欲しい」「通常学級に入れておいていいのか」といった声が出てくる可能性があります。障害があっても人に手を出すことがなければ,通常学級に在籍したり,集団に入りやすいですが,他害行動があると,集団に参加することが非常に難しい状況になりやすいです。

  これらの理由から,
『どういう状況でも絶対に手を出してはいけない』という方針で,こどもの時から指導したほうが良いと考えます。相手が悪い状況でも,こどもが手を出したらそのことはしっかり注意し,他の社会的な問題解決の方法を教えてあげましょう(保護者や先生に言う,など)。『無くしたい行動は起こさせない』ということが基本であり,暴力的な行動を行動レパートリーとして獲得させないように小さいときから注意しておくことを勧めます。



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