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 行動的支援勉強ノート2 

 何が誰にとって問題行動なのか?


  知的障害や発達障害のある人たちの問題行動(行動問題,行動障害,挑戦的行動とも呼ばれる)を考える時,何が問題行動であり,問題と言うのは誰にとっての問題なのかという議論がされることがあります。他職種の方や専門家と話していると大枠の見解には相違が無いように思います。

  例えば,自他の体を傷つけるような自傷行動や他害行動,周囲に迷惑をかける行動(授業中や電車内で大声を出したり飛び跳ねたりする),法に触れるような行動は問題行動であり,改善に向けた取り組みが必要だという点に反対する人はいないと思います。挑戦的行動のタイプとしては,自傷行動,攻撃行動,不適切な性的行動,物を投げたり盗んだりする行動,常同行動が挙げられます(wikipedia,challenging behaviorより)。問題行動をどのように捉えるかということは大切であり,教育目標や方針とも関わってきます。

  こども行動療育教室では『可能な限り社会に適応した活動的な生活を送る』ことを教育目標としています。そのため,この目標に悪影響を与える可能性のある行動,つまり,『自他の心身の健康を脅かす行動,及び,社会適応を阻害する行動』を問題行動と考えます。では誰にとって問題なのでしょうか。私は,本人と保護者,周囲の人たち全員にとって問題であると考えます。『可能な限り社会に適応した活動的な生活を送る』ことを発達障害のある児・者本人の幸せだと考えた場合,その幸せを阻害するような行動は本人にとって問題であるし,その幸せを願う保護者にとっても問題です。他害行動によって周囲の人が傷つけられる可能性があれば,周囲の人にとってもその行動は問題です。

  例えば重度の知的障害があり,自傷行動や他害行動を示しても本人は何も分かっていないから本人にとっては問題ではないと考える人がいるかもしれませんが,私は違うと思います。そういった行動により,刺激が制限され,活動の幅が狭められ,学習の機会が奪われ,将来の社会適応が阻害される可能性があるならば,本人にとっても問題だと考えます。

  『本人をありのまま受け入れる』といった教育方針を持っていれば,自他を傷つけるような行動でなければ問題と考えないかもしれません。長時間自己刺激行動や常同行動にふけっている場合も積極的に改善が必要だとは考えないのではないでしょうか。しかし,自己刺激行動や常同行動にふける時間が長いことは脳の発達にとって良くありません。これは周囲の迷惑にならなかったとしても本人の成長にとっては大きな問題なので,積極的に改善に向けた取り組みを行う必要があります。

  また,人前で鼻をほじったりする行動も本人は何も思わなくても,不潔だなと思って接触を避ける人がいたりネガティブな対応をされることがあるので,本人にとっても問題だと考えた方が良いと思います。人に直接の被害を与えない不潔行動も問題行動と考えて改善しなければいけないし,社会のマナーや規範,ルールを守ることも学んでいかなければなりません。

  『自他の心身の健康を脅かす行動・社会適応を阻害する行動』を問題行動と捉え,改善に向けた取り組みを行っていく必要があると思います。しかし問題行動の捉え方は人によって細かい点でずれがあります。具体例を挙げて説明します。以前,食事を非常に早食いする方がいました。ほとんど噛まずに1分程で飲み込んでしまうといった状態です。私はこれは身体の健康を損なう可能性のある大きな問題だと考えました(「4-5. 食事に関する行動」参照)。しかし別の方は,「食事くらいしか楽しみがないから好きに食べさせてあげたらいい」という考え方でした。そうすると,食事行動を改善するための介入の実施が難しくなります。このように何をどの程度,問題行動として考えるかということは,具体的な支援計画や支援の優先順位にも影響を与えます。

  何が問題行動であり,誰にとってそれは問題なのか,という考えは教育や支援,子育てにも直接影響を与えることなので,一度ゆっくりと考えてみて頭を整理する時間を取ると良いと思います。

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