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 行動的支援勉強ノート2 

 コラム:行動の見方と教育的支援


  応用行動分析学(ABA)では,個人と環境の相互作用として行動を捉えます。
     
  教育的支援は,将来の社会適応とQOLの向上を目的とし,個人と環境の相互作用で行動を捉え(基本的には三項随伴性の枠組み(A-B-C)で行動を捉えます),支援を行います。

 『教育的支援の基本』で解説したように具体的には,①個人の行動レパートリーの拡大(できることを増やす),②適切な行動が起こりやすいよう環境調整,の両方向から取り組んでいきます。

  ①個人の能力を伸ばすための取り組みは,専門的な支援としては個別療育や小集団の療育が基本となります。また,日々の生活や園での経験を通しても様々な力をつけていきます。行動レパートリーの拡大,できることを増やすことを第1の目標として,様々な行動やスキルを伸ばしていきます。言語スキル,認知スキル,対人スキル,日常生活スキルなどが伸びてくると,社会適応の力となります。

  ②環境面からの取り組みは,個人の持っている力を引き出し,適応的に行動できるように環境を整えることが基本となります。環境刺激は,物理的な環境,周囲の大人やこども達からの働きかけや反応,音や光や温度などになります。視覚的支援やスケジュールの提示なども環境刺激と考えられます。望ましい行動が起こりやすく,強化されやすい環境を整えます。

  療育などで獲得したスキルやすでに持っているスキルも使う機会がなければできなくなってしまうことがあります。言葉で要求ができるなら言葉で要求させる,挨拶ができるなら挨拶させる,我慢できるなら我慢させる,選択できるなら選択させる,最後まで課題ができるなら最後まで課題をさせる,ことが大切です。持っている力を引き出してどんどん使う環境を整え,行動を習慣化させ,様々な場面で自然と行動できることを目指していきます(般化と維持)。

  前向きに楽しく適応的な行動が行えるように,こどもの動機づけを高めていきます。楽しく活動を行ったり,上手くできたら先生やクラスメイトに認めてもらえるような環境を整えていきましょう。

  個人と環境の相互作用として行動を捉えることは問題行動への対応にも一つの方向性を示します。『様々な環境で問題行動に代わる社会的に受け入れられやすい行動を増やす(行動レパートリーの拡大)』,『問題行動の原因を環境に求め,問題行動が起こりにくい環境を整える(環境調整)』,という両方向からの支援が大切になります。

  個人の能力が伸びることによって環境に適応する行動が増えていき,環境を整えて適応的に行動する経験を積むことで個人の能力が伸びていきます。個人と環境の相互作用として行動を捉え,両方向からこどもの社会適応を伸ばすように取り組んでいきましょう。

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