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  9. 分化強化 1 


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 応用行動分析学勉強ノート

 コラム 消去を行うときに大切なこと 2


  『コラム 消去を行うときに大切なこと1』で書かれた内容に説明を加えます。

  例えば,こどもに何かをさせようとすると嫌がって問題行動を示す場合を考えてみます。自分で服を着せようとすると嫌がる,靴を履かせようとすると嫌がる,歯を磨かそうとすると嫌がる,などの場面です。

  そのような場面でこどもが嫌がり,泣いたり,物を投げたり,暴言を吐いたり,叩いたりするといった問題行動を示すとします。問題行動を消去するということを考えると,泣いても物を投げても叩いてきても無視して着替えさせるという対応が中心になります。

  このような消去を行う場合に考えないといけないことがあります。

  1つは,こどもはそのスキルを無理なく行うことができるまで習得しているのかということ。こどもが1人で簡単に行うことができないことなら,そのスキルはまだ教えてあげなければいけない段階なので,1人で行うのを嫌がっても当然です。励ましてあげたり,たまに手伝ってあげたりして,一緒に行ってあげる必要があります。また,『正確性と流暢性について』を参考にしていただきたいのですが,こどもができるようになったことでも,がんばったり集中しないとできない程度の習得段階では,最初から最後までいつも1人でさせるには無理があるかもしれません。そのような段階ではこどもが問題行動を示したときに、消去して1人で行わせるといった対応をとるよりも,上手くできたら褒めてあげて強化したり,難しそうなら2回に1回は手伝ってあげる,といった対応の方が良いです。問題行動の消去を考える前に,適切な行動を習得するための教育的な支援を考えなければいけません。

  2つ目に考えないといけないことは,問題行動を消去する場合,問題行動を経験させてしまっているということです。これは,問題行動が起こるから消去するので当たり前のことですが,例えば「服を着なさい」と言ってもこどもがぐずってすぐに着ない場面を考えてみます。その時にぐずる行動を無視して,「服を着なさい」と5分ほど繰り返し言って,やっとこどもが服を着たとします。これはこどものぐずる行動を消去したと考えられるかもしれませんが,見方を変えると,5分間,問題行動を行わせたというデメリットがあります。『無くしたい行動は起こさせない』ということが基本であり,無くしたい行動が起こってしまうと,それが強まり維持される可能性が出てしまいます。こどもの粘り勝ちで,結局こちらが折れてしまったりすることあれば,非常に良くないです。

  このような場合は,『問題行動を消去しなければ』とこちらが固執せず,こどもがぐずる素振りを見せる前に,パッと服を着させた方が良い場合があります。嫌がるところを無理やり着させるのではなく,「はいはい着ようねー」などといって,こどもが知らないうちに服を着ていたという具合に,自然なプロンプトで誘導して身体を持ってパパパッと服を着させます。また,ジャンパーを着るのを嫌がるこどもなら,「じゃあもう着なくていいですよー」と言って,そのまま外出するというのも1つのアプローチです。別に怒って言う必要は無く,ぐずる行動,問題行動を起こさせる位なら最初から要求しないということです。

  3つ目は,問題行動をしっかり消去しようとすると,保護者にもこどもにもストレスがかかるということです。療育場面などの限られた時間では,しっかり消去しますが,ご家族は24時間こどもに対応し,家事なども行わなければいけません。そのような状況で,こどもが示す問題行動を全てきっちり消去するのは非常に労力がかかり,疲れます。問題行動をそのままにしておいて良いというわけではなく,特定の無くしたい行動に絞って消去し,その他の場面では,上記のように問題行動が起こらないような対応をしてあげて良いと思います。

  2つ目,3つ目で解説したように,こどもが示す問題行動に真正面から対応せず,問題行動を起こさせないように援助して正しい行動を行わせ,問題行動への対処はとりあえず後回しにするということも1つの方法です。そして療育などを通して,こどもの様々なスキル(状況を理解する力,がんばる力など)が伸びてくると,2ヶ月後に同じ場面で「服を着なさいよー」と言ったらすぐに着替えることができるようになっている可能性があります。

  以上,消去について色々解説しました。こどもが問題行動を示したら,その機能を予測し,消去するということは非常に大切なことです。この視点が無ければ,こどものためを思っての対応であっても,問題行動を強めてしまう可能性があります。しかし,問題行動への対処方法は消去だけではなく,ただ消去したら良いという訳ではありません。その他にも教育的な視点など考えないといけないことがあり,問題行動への対処を後回しにした方が良い場合もあります。



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