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  勉強ノート2 はじめに

  応用行動分析学(ABA)とは?

  行動は変わるということ

  障害特性と教育について


  叱責することのデメリット

 
 教育的支援の基本

  コラム.行動の見方と教育的支援

  注意力・集中力の問題

  習い事について

  物理的な環境調整や
  スケジュールについての考察


  刺激や活動を制限すること
  について

  何が誰にとって問題行動
  なのか?


  集団適応を阻害しやすい
  問題行動


  相手によって行動が変わる
  ことは悪いこと?


  進学、学校選びについて

  専門家の「少し様子を見ましょ
  う」というコメントについて


  専門家の「愛情不足」という
  コメントについて


  恐怖感や過敏な反応への対応

  コラム.自己刺激行動や過敏な
    反応について:疲れやスト
    レスとの関係


  切り替えの弱さへの支援

  渋々でも納得する力

  思いやりや人に親切にする
  行動について


  子育ての正解,不正解

  障害の受容について

  行動理論を理解してもらう


  行動的支援勉強ノートとABA
  にもとづいた支援について



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 行動的支援勉強ノート2

 叱責することのデメリット


  「4-7 褒めて子どもを育てよう」では,こどもが不適切な行動を行った時や言うことを聞かなかった時に叱責したり注意しても不適切な行動が減少することは少なく、その他にも悪影響を与えることがあると書きましたが、少し補足します。

  おすすめ図書に島宗理先生の『パフォーマンス・マネジメント: 問題解決のための行動分析学』を掲載させていただきました。この本は発達障害を対象としたものではありませんが、人の行動の原理が分かりやすくまとめてられています。本には『派生の原理』と『弁別の原理』の説明があり、その原理を用いて叱責することのデメリットを解説しています。色々な叱責によるデメリットはありますが、ここでは、『派生の原理』に注目して解説していきます (詳しく知りたい方は書籍をお読みになることをおすすめします)。

  まず、『派生の原理』は『強化子・好子(ポジティブな結果)や嫌子(ネガティブな結果)が現れると、そのとき、そこにいた人や物、状況などが好子化したり嫌子化したりする。』と言う行動の原理です。つまり、A-B-Cの行動随伴性の枠組みで考えると、ある行動(B)をして褒められるなどのポジティブな結果(C)が伴うと、その褒めてくれた人や、褒められた場所もポジティブなものと感じられるようになり、ある行動(B)をして叱られるなどネガティブな結果(C)が伴うと、その叱責した人や、叱責された場所もネガティブなものと感じられるようになるということです。そして、ネガティブに感じるようになった人や場所にあまり近づかなくなったり、怒りや恐怖といった情動反応を引き起こしてしまうことがあります。

  例えば、学校である課題をする時(A)に、課題に取り組まず話し出して(B)、先生に怒られた(C)とします。“課題に取り組まず話し出す”という不適切な行動を減少させるための対応ですが、『派生の原理』によって、叱責した先生、その時取り組んでいた課題や教室が嫌いなものになってしまう可能性があると言うことです。そうすると、次に同じ課題をするのを嫌がったり、先生のことを嫌いになり学校に行くことを渋るようになったりするかもしれません。これは、家庭での療育や日々の生活でも同じことが言えます。
  逆に、学校である課題をする時(A)に、課題に取り組んで (B)、先生に褒められた(C)とします。そうすると『派生の原理』によって、褒めてくれた先生やその取り組んでいた課題や教室を好きになり、似たような課題への取り組みが良くなり、学校に積極的に通うようになる可能性があります。

  このように、叱責などのネガティブな結果は、『派生の原理』によって、その時の行動以外の多くの側面にマイナスの影響を与えてしまうことがあります。保護者がこどものことを思って叱責したとしても、その影響で勉強すること自体が嫌いになったり、絵カードを見たら逃げ出すようになったり、今まで行けていた場所に行かなくなったりする可能性があります。倫理的に叱るのは良くないということではなく、このような叱責の悪影響が行動の原理からも考えられるため、できるだけ叱責せず、がんばったことや普通にできていることを積極的に褒めてあげ、認めてあげる方が良いということです。その方が保護者も気持ちよくこどもとかかわることができ、家庭の雰囲気も良くなり、長期的に見て望ましいことが多いでしょう。

  また、「4-6. 自身の行動もこどもの行動に影響を受けている」に書きましたが、気づかないうちに自身の叱責行動が強まり、回数も多くなってしまっている危険性があります。この変化は中々自分では気づかないので、注意が必要です。もし知り合いやご家族、同僚から「最近、怒りすぎだよ」と言われることがあったら、「そんなことはない!」と思うのではなく、一度客観的に自身の行動を振り返ってください。もしかしたら自身の叱責行動が知らず知らずのうちに強まってしまっているかもしれません。

  子育てをしていると、注意したり怒ったりしなければいけないことはあります。どういう場面で叱責するか、その注意の仕方はまた解説します。

  ここで解説した行動の原理やメカニズムを理解し、基本的に叱責ではなく、褒めることでこどもの適切な行動を伸ばしていきましょう。その方が、長期的には適切な行動の学習が促進され、こどもも大人もストレスが少なく、楽しく日々を過ごすことができると思います。


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